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kitobitohouseの打ち合わせブログ


by kitobitohouse
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一位事件

一位 別名:アララギ
 長くやっていると色々な事があるもんです。話しが遡りますが、地鎮祭も済ませ最初の図面が届き、kitobitohouse が具体化し始め契約を前に山では伐り時を選んで松が伐り出された頃、4月の材木市に会長と二人で大黒柱を買いに行きました。
欅、桧が大黒柱としては一般的で他の樹種で考えた事もなかったのですが、米戸さんは桜がご希望でした。桜は狂い易いとの事で探してみても市に出ているのは欅ばかり。結局倉庫の奥へ奥へと入っていきました。「松は?無ければ桧でいいですよ。」携帯でそんな会話をしながら諦めかけた時、造作材担当のSさんが「これはどうです?一位、京都あたりでは時々使いますよ。聖徳太子が持たれている杓は一位でできています。」「へぇ~この木なの?」米戸さんに聞くと「一位なら僕は嬉しいです。」と明るい返事。「こんな高いもん使うんか?」と呆れ顔の会長を他所に伝票をもらって帰りました。
 いよいよ墨付けが始まり顔会せの日、unitaの横田さんも一緒に一位を見て頂きA棟の刻みに入りました。ある日携帯に突然会長から電話「あれは一位じゃあないぞ、杉だ」・・・・・削ってみたら違うのです。しかも柔らかい。寝耳に水とはまさにこの事。

 頭の中には「一位なら僕は嬉しいです。」「僕に削らせて下さい。」この言葉と、嬉しそうに写真に撮る米戸さんが浮かんでいました。
 翌日、落とし掛けの一位を持って担当が来ました。全く違っていました。Sさんは何十年も木を見てきた方、仕入れた本人も全く疑っていないほど綺麗に塗装されていたのです。弊社創業以来の取引会社なので、対応の不安はありませんでしたが、「探しても無いし、あっても高いから欅にして下さい。」と言うのです。そんな妥協は絶対してはいけないと自分に言い聞かせこれを押し通す覚悟で「探せばあるはず、金額は探してからの話し。絶対探す努力をして下さい。会社の信用に賭けて探して下さい。」なぜか必ずあると信じて待ちました。 
それから一週間して7月15日Sさんが仕入れてきてくれたとの連絡。翌日16日に会長と見に行き、これなら使えると確信が持てる木だったので、そこで始めて米戸さんに報告しました。すぐに加工場に配達してもらい、夕方見に来てもらいました。木味も良く赤みが優しい色で削ると良い匂いがします。加工場から帰り、事務所に寄って下さった米戸さんの笑顔が全てを物語っています。諦めないで良かった。

 一位は加工場で刻まれkitobitohouseA棟の真ん中に建てられる日をるのをじっと待っています。
探してくれたSさんにお礼の電話をかけました。誰しも間違いはあるもの。大切なことはその後の対処法だと改めて確信した「一位事件」でした。・・・めでたしめでたしトントナァ~・・・
by kitobitohouse | 2009-07-17 23:16